2014/10/05

■日曜コラム■「聞き返し」できる通訳はよい通訳 <通訳を使うテクニック -5->

前回はこんな通訳には要注意というポイントを取り上げてきました。「しゃべり過ぎ」の通訳、「省略が多い」通訳、そしてもうひとつの要注意ポイントとして、今回取り上げるのは「聞き返しがない」通訳です。

わからない単語や聞き取れない言葉があったとき、それを飛ばしてしまったり、十分に意味を確認しないで話を進める通訳がいます。時には自分勝手に解釈して話す通訳がいます。理解が不十分のまま内容をごまかして通訳するようでは論外です。

中には「聞き返すことが恥ずかしい」とか、「メンツに関わる」と考えている通訳もいます。もし、そう考えるようでは通訳としては失格です。わからない内容を「聞き返さない」通訳は要注意です。

たとえ話し手が話し続けている場合でもその場で立ち止まって内容の確認ができる通訳か、わからない言葉があったときにきちんと「聞き返し」をする通訳かどうか、これは話し手側が意識してチェックをすることが必要です。これは語学力の問題ではなく、通訳という仕事に望む姿勢の問題です。

わからない言葉や理解が難しい専門性の高い内容があったときにきちんと「聞き返し」ができるかどうかは重要なポイントです。通訳の資質、通訳としての自覚、通訳としての責任感の問題なのです。さらには通訳本人の人間性の問題かもしれません。

「聞き返し」ができる通訳はクライアントに大きな安心感を与えます。どんなに語学力が優れていてもクライアントに不安な気持ちを与えるような通訳は「プロとして失格」でしょう。

では、どのようにして信頼できる通訳かどうかを見極めるか。いくつかのチェックポイントを紹介しましょう。まず、話し手が話しているときにちゃんとメモを取っているかどうかです。メモも取らないような通訳は要注意です。次に、話し手の話がつい長くなってしまったときに、通訳は話し手に対して声をかけられるかどうかという点です。話し手が夢中になり話を区切るポイントを気にせずに長々と話を続けてしまうことがあります。こんな時に、「ちょっと待ってください。ここまでを通訳します」と、時には話し手の話を遮ることも必要です。これは逐次通訳をする上で重要なポイントです。

そして、自分の意見と、訳すべき内容の区別がきちんとできているかという点もチェックポイントです。勝手な解釈をしたり、自分の意見を交えて訳したりする通訳がいます。たとえば、事前に打ち合わせをする時間があれば、伝えるべきポイントについて事前に通訳に話しておき、通訳自身はその点についてどう思うかという点について話してみるといいと思います。

つまり、これらはクライアント(話し手)に対して配慮や気配りができる通訳かどうかということです。このような点を考えながら通訳を選ぶときの参考にしていただきたいと思います。通訳を選ぶ基準は決して語学力だけではないのです。

そして、もし同じ地域に出張することが多い場合は、同じ通訳を選ぶことをお勧めします。「同一地域の出張に指名通訳」、この点も皆さんにお勧めしたいポイントです。安心して仕事が任せられる通訳がいることは、ビジネスを進める上で力強い「戦力」になります。


■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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