2014/10/26

■日曜コラム■話し手側が注意すべき点<通訳を使うテクニック -8->

ここまでのコラムでは「こんな通訳には要注意」というテーマで注意ポイントを紹介してきました。今回からは「話し手が注意すべきポイント」について取り上げていきます。

いくらよい通訳に巡り合えても、通訳を使う側が上手に使いこなすことができなければ、ビジネス折衝や交渉はうまくいきません。話し手が注意すべきポイントを紹介します。

最初のポイントは「イエス」は「イエス」、「ノー」は「ノー」と明確に伝えることです。つまり、曖昧な表現を避け、明確に意思表示をするということです。この点は中国人とのコミュニケーションを進めていく上での基本ではないかと思います。

日本人はどうしても明確に意思表示をすることが苦手です。「ノー」と言うべきところでも、はっきりとした意思表示をせず、お茶を濁したり、否定の気持ちを遠回しに伝えようとしたり、「ノー」という気持ちを悟ってほしいと話し手は明確な表現をせずに相手が気づいてくれることに期待をしたりすることもあります。

日本人同士であれば通用する「以心伝心」、「阿吽の呼吸」、「空気を読む」という点が中国人には通じないことがあります。

「悟ってほしい」、「空気を読んでほしい」、「ここまで言えばそれ以上は言わなくてもわかるだろう」という期待は中国人には通じないと理解しておくべきでしょう。中国では「主張することが評価される文化」であり、主張をしない人はしっかりした自分の考えを持っていない人か、主張が不必要などうてもよい事柄なのか、そんなふうに考えるのが一般的です。

「以心伝心」などを期待するのではなく、伝えるべきことをはっきり相手に言うべきです。空気を読んでくれることに期待しないで、主張すべきことは明確に相手に主張すべきなのです。

曖昧な表現の事例をいくつか挙げてみましょう。たとえば、「おっしゃりたいことはわからないわけではありませんが…」という表現も曖昧表現のひとつ。「わかったと申し上げたいところですが、十分に理解できたと申し上げるためにはもう少し説明をいただけないと・・・」というような表現。本人は理解できたのでしょうか?理解できていないのでしょうか?

相手に共感の気持ちを示し、敬意を払う様子はよくわかるのですが、言い換えると「あなたの話は理解できません。もっと詳しい説明をしてください」ということです。中国人とのミーティングの場ではこちらの考えをもっとストレートに伝えるべきです。

たとえば、、「できないわけではないのですが、はっきりできると申し上げるわけにはいきません」という表現。これも曖昧な表現です。「できる」か「できない」かというだけではなく、「自信がない」とか「あまり乗り気ではない」とか、複雑な気持ちの動きやそのニュアンスを伝えたい場合もあるでしょう。

間に通訳が入る場合は問題がより複雑になります。通訳がこのニュアンスを感じ取って訳すことができるかどうかという点です。さらに、通訳が訳した言葉をあなた自身はチェックすることができません。(中国語がd系ない場合・・・)あなたが意図することとまったく違ったニュアンスで伝わっている可能性もあるのです。

曖昧な表現を避け、伝えたいポイントはストレートに表現する、これが中国人とのコミュニケーションの基本です。通訳が訳しやすい表現を心がける、この点も気配りが必要なポイントでしょう。

次回は、曖昧表現をなくすヒントについて紹介します。


■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia

◆Yahoo! JAPAN ビジネスニュースにてコラムを執筆中
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