2014/11/09

■日曜コラム■伝えたいポイントの「結論」から告げる<通訳を使うテクニック -10->

通訳を使うテクニックについて「話し手が注意すべきポイント」を取り上げています。今回はその3つ目のポイントです。今回のポイントは「結論から告げる」という点です。

相手に伝えたい内容はまず「結論」を先に伝えること、これは通訳者をどううまく使うかというだけではなく、中国人と上手にコミュニケーションを取るポイントです。

話をするときには最初に「結論」から相手に告げます。次に、その「結論」に至った説明や話の補足をひとつひとつ補足します。こういう話し方をぜひ心がけてみてください。

日本人は「起承転結」型で話を組み立てる人が多いようです。まず、話のきっかけから入り、話を展開していく中で結論を導き出すポイントに近づき、最後に「結論」を述べます。(時には、「起承転結」の「承」と「転」のところで話が脱線し、なかなか「結論」までたどり着かない人があります)

しかし、この「起承転結」の方法だと最後まで話を聞かないと「結論」がわかりません。文章を書く場合は「起承転結」でもよいかもしれませんが、会話によるコミュニケーションでこの「結論」に至るまでの話が長くなると「論点」がわかりづらくなり、何を言いたいのか曖昧になることがよくあります。

あれもこれもと話し過ぎてしまう人、「結論」が話しづらく会話の内容が「言い訳」が中心になる人、話が脱線した先でさらに話が膨らんで本人自身も「結論」を見失ってしまう人、皆さんも心当たりがあるのではないかと思います。

まずは「結論」から告げることを心がけてみてください。長々話を続けるのではなく、話はできるだけ短く、相手に伝えるべきポイントを明確にして、話はまず「結論」です。

私の場合、「結論から言いますと・・・」という口癖を実践しています。具体的な説明や理由の補足に入る前に、相手に伝えるべきポイントを明確に主張するため工夫です。また、これは同時に通訳に訳すべきポイントを意識させるための工夫でもあります。「起承転結」ではなくまずは「結論」から入ること、そして「結論から言いますと・・・」というフレーズを口癖にしてみること、皆さんも中国人とのコミュニケーションでぜひ実践してみてください。

◇日本語は最後まで話を聞かないとわからない文法構造

日本語は動作(動詞)の肯定と否定を文章の最後で表現します。つまり、最後まで聞かないと話し手の意図(意思)がわからない文法構造になっているのです。一方、中国語や英語は日本語の文法構造とは異なり、主語のすぐ後に続く動詞で話し手の意図を知ることができます。

たとえば、日本語の場合、「今度の休日はせっかくの休みなので(中略)・・・、家でのんびり過ごしたい」という表現。最初のフレーズから「中略」の部分を聞いた後で、話し手が伝えたい最後のフレーズが「・・・家で過ごしたい」なのか、「・・・家で過ごしたかった」(結果的には外出した)なのか、「・・・家で過ごすのは嫌いだ」なのか、「・・・家で過ごすのは貴重な機会だ」なのか、フレーズの語尾まで聞かないとわからない文法構造なのです。

「・・・家で過ごすつもりだ」(外出しない)なのか、「・・・家で過ごしている場合ではない」(外出する)なのか、話し手の意図(意思)は文末にあり、言葉の最後まで聞かないと話し手の言いたいことがわからないわけです。たいていの場合、聞き手は話の途中まで聞くと話し手が言いたいことが予測できるのですが・・・。

聞き手のほうで話の内容を予測すること、話し手のほうは聞き手に話の内容を悟ってもらうこと、お互いが相手の「察知力」に期待してコミュニケーションが成り立っているのが日本語の特徴ではないかと思います。

「せっかくの休みなので・・・」に続く中略の部分に「洗濯もしたいし・・・」「散歩もしたいし・・・」「ゆっくりテレビも見たいし・・・」「映画にも行きたい・・・」「友人と話もしたいし・・・」と話が長くなるとそれぞれ「外出したい」のか、「家にいたい」のか、ますます最後の結論が予想し難くなります。

「結論から言いますと、私は外出するつもりです」と最初に明確な意思表示をすると、間に入る説明がすべて「結論」を導き出したそれに関係がある事柄であることがはっきりわかります。話は「結論」から入ること、そして「結論から言いますと・・・」というフレーズを口癖にすること、ぜひ実践してみてください。


■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia

◆Yahoo! JAPAN ビジネスニュースにてコラムを執筆中
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