2015/02/08

■日曜コラム■シルヴェスタ・スタローンは中国語でどういう?<続・通訳を使うテクニック -8->

前回に引き続き「カタカナ英語」を取り上げます。相手が外国人と見ると必要以上に英語の単語を使って話す日本人がいます。しかし、日本人が言葉にする「カタカナ発音」ではなかなか相手に通じないことがあります。相手や通訳に配慮したつもりで英単語を並べても話すことは、通訳からすると逆にわかりずらい日本語表現なのです。

もうひとつやっかいなのは「和製英語」です。これも通訳泣かせの日本語です。「和製英語」とは実は英語ではなく、日本人が考え出した英単語です。外国人にはまったく通じなかったり、使い方が間違っていたりすることがあります。

ミーティングでよく出てくる言葉をいくつか例に挙げてみよう。例えば、「コストダウン」、「クレーム」、「アフターサービス」、「アンケート」、「リストアップ」、「コンセプト」、「イメージアップ」、「イメージダウン」、「ウォーミングアップ」など。これらは英単語にはない言葉であり、日本でしか通じない言葉です。

他にも、「ワープロ」、「パソコン」、「サラリーマン」、「OL」(オフィスレディー)、「ゴールデンウィーク」、「ナイター」、「ドライブイン」、「フリーダイヤル」、「ニュースキャスター」、「オーダーメード」、「フリーサイズ」、「アルバイト」、「シャープペンシル」など。日本人は英語だと思っているかもしれませんが、実はそうではない言葉が意外と多いのです。いかに英語風の発音を真似て伝えようとしても、外国人にはまったく通じません。

日本語を勉強している外国人には通じるかもしれません。つまり、これらの単語を「日本語」と認識しているのです。

日本人が発音する国名・地名、外国人俳優などを通訳が聞き取れないというケースもあります。たとえば「映画『タイタニック』の主演レオナルド・デカプリオ」という人名。「レオナルド・デカプリオ」とカタカナで表記した言葉をそのまま発音しても、恐らく通訳が聞き取れないでしょう。「レオナルド・デカプリオ」は中国語で表記すると「莱昂納多・迪KA普里奥」となり、日本語とはだいぶ違う発音になります。もちろん、ネイティブスピーカーが話す英語の発音とも違ってきます。(「KA」という漢字は「峠」という漢字から、左の「山」を取った文字)

「タイタニック」を中国語で表記すると「泰坦尼克号」となります。おそらく日本語で「タイタニック」とカタカナ発音をしても通訳には伝わらないでしょう。テレビで映画の再放送の話をしたときに「タイタニック」が説明できなくてひと苦労したことがありました。苦肉の策で客船が沈没する絵を描いて説明し、やっと話が通じたという経験があります。

たとえば、映画スターの「シルヴェスタ・スタローン」は中国語で「西尓維斯特・史泰竜」と表現します。「アーノルド・シュワルツネッガー」は「阿茹徳・施瓦辛格」という漢字を使います。これらも日本人のカタカナ発音を一回で理解する通訳はまずいないでしょう。

また、こういう事例もありました。ある日本人が「ガラスマ」「グロスマ」という言葉を使って日本企業が不振に陥っている様子を説明しようとしました。しかし、通訳がそれを訳しきれずに会話が5分以上も停滞してしまいました。「ガラスマ」とは「ガラパゴス」+「スマートフォン」、「グロスマ」とは「グローバルスマートフォン」の訳。「ガラパゴス」という地名は「科隆群島」だが、地名を直訳しても日本人が伝えたい意図は相手に伝わらりません。
 
話し手は何気なく使った言葉でも、通訳を含め部外者には何のことかさっぱりわかりません。話し手も、自分の言葉を通訳が理解できるかどうか注意しながら発言すべきです。産業界の現状やその背景を理解していないと理解できない説明なのです。話し手は何気なく説明に使ったひと言が、言葉の説明に説明を必要とし、その説明にまた説明を必要とするような発言はできれば話し手は避けるべきです。話し手側も注意しながら言葉を選んで通訳を使いこなしたいという事例です。


■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia

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