2015/02/15

■日曜コラム■重要な案件はダブルチェック体制で<続・通訳を使うテクニック -9->

コーディネーターとしてミーティングに同行するとき、ダブルチェックの重要性が身に沁みることがよくあります。通訳が相手側の言語に置き換えて話をするとき、話し手は通訳がどう訳しているかわからないわけです。通訳は中国語で話しています。時には通訳が誤った訳し方をすることがあります。または通訳が私情を交えたり、自分の意見を盛り込んで話すこともあります。

コーディネーターとして同席するとき、できるだけ通訳の誤訳や訳の過不足をチェックするお手伝いをするようにしています。しかし、もしも重要な案件で会議を持つ場合、ダブルチェック体制で会議に臨むことをお勧めしています。

「契約」を前提にしたビジネスの最終折衝や立場が違う両者による主張の調整、またはチェックポイントを設けた最終的な詰めの交渉などのケースです。通訳に加えて、通訳の訳をチェックできる人員を準備して、ダブルチェック体制で会議に臨むことをお勧めしています。

もし、社内に中国語がわかる人材がいれば通訳としてではなく、通訳者のチェック役として立ち合わせるわけです。または、契約文書の最終チェックを依頼した弁護士事務所や会計士事務所の担当者に会議への同行をお願いして、立ち会ってもらってもよいでしょう。

これは現地視察やヒアリングでも同様です。もしも可能なのでれば、通訳と社内の中国語ができるスタッフとの2人体制で会議に臨むことが理想的です。ひとりは中国語を聞き取り、中国語でしっかりメモを取る役割です。もう一人は通訳として中国語を日本語に訳す役割です。

一般的に通訳者のメモはその場の通訳のために書き記すメモであり、記録を残すためのメモではありません。会議の記録にはなりません。つまり、中国語で聞き取って記録を残す役割の担当者とダブルチェック体制でヒアリングに臨むわけです。

さて、ビジネス折衝で通訳を任せる場合、日本人がいいか、中国人がいいかという議論になることがしばしばありますが、基本的にはプロの通訳であれば日本人でも中国人でも問題ありません。中国語に訳すことも、日本語に訳すことも同じようにトレーニングを受けているはずです。大きな違いはないでしょう。(学生やボランティアの通訳は別です)

私の場合は基本的にミーティングの性格が「主張すること」が目的か、「ヒアリング」が目的かで考えることにしています。「主張すること」が目的である場合、基本的に中国語ネイティブのスピーカーをお勧めします。「ヒアリング」が目的の場合はやはり聞きやすい日本語に置き換えてくれる日本人のほうがよいのではないでしょうか。目的に応じて日本人通訳者を人選したほうがよいケースもあります。

もちろん通訳を選ぶときに「選択の余地がない」というケースもあります。日本人がいいか、中国人がいいかということよりも、依頼する通訳者が十分な能力が発揮できるような(1)訪問目的な会議のポイントなどの事前打ち合わせ、(2)専門用語や業界事情の事前レクチャー、(3)通訳が訳しやすい話し方をする話し手側の気配り、この3つのポイントが大切ではないかと思います。


■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia

◆Yahoo! JAPAN ビジネスニュースにてコラムを執筆中
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